世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている坂上デンタルオフィスの坂上斉です。
今回ご紹介するのは、過去に根管治療を2回受けたと考えられる歯に再び痛みが生じ、当院での根管治療によって改善が得られた症例です。
「数年前に治療した歯がまた痛み出した」
「一度治療しているのに、まだ悪くなるの?」
このようなご不安をお持ちの方に、再根管治療による改善例をご紹介いたします。
初診時の状態:経緯と再発した痛みの原因
経緯
左下6番(第一大臼歯)の歯ぐきに腫れを感じ、他院で根管治療を行ったのが一カ月前。
この時の処置は、少なくとも2回目の根管治療と考えられます。
その後も、
- 夜間にズキズキと痛む
- 硬いものを噛むことができない
といった症状が続き、当院を受診されました。
治療直後だったため、「炎症が落ち着いてくる可能性がある」と判断し、この時点では経過観察としました。
しかし、2年が経ち、再び痛みが気になるようになり、近隣の歯科医院で抗生剤を処方されて一時的に症状は軽快。「専門医で診てもらったほうが良い」とお話しがあり、再度当院を受診されました。
主訴・所見
- 自発痛(何もしていない時の痛み):なし
- 打診痛(歯を軽くたたいた時の痛み):なし
- 腫れ:なし
▲初診時のレントゲン画像
▲初診時のCT画像
レントゲンおよびCTでは、歯の根の先に黒い影(骨がない部分)が確認されました。
また、根管の形態が不整で、根管内の処置が不十分だった可能性も考えられました。
これらの所見から、感染が残っていたことにより炎症が生じ、それが痛みの原因となっていると判断し、再根管治療を行う方針となりました。
治療の経過:再根管治療の処置内容
治療1回目
痛みはない状態でした。
- 今後の処置に備えて仮歯の型取りを実施
- 麻酔後、被せ物を除去
- ラバーダム(ゴム製のシート)を装着し、土台を除去
- 隔壁作製
- 仮歯を作製、仮着
治療2回目
仮歯の状態は良好で、痛みもありませんでした。
- 麻酔後、ラバーダムを装着し、根管内の清掃
- 治療後は仮封、仮歯を再度仮着
治療3回目
前回の治療後、10日ほど痛みが続き、1週間は食事がしづらかったとのことでした。
- 麻酔後、ラバーダム下で根管内の最終的な清掃と根管充填を実施
- レントゲンで状態を確認し、仮封・仮歯で終了
▲根管充填直後のレントゲン画像(根管充填は良好に行えました)
治療4回目
処置後、2日ほど軽い痛みがありました。
- 麻酔後、ラバーダム下で、ポスト(支柱)とコア(土台)を作製
- 仮歯の形を修正して、再度仮着
経過観察:レントゲン・CTでの変化
▲レントゲンでの経過
(術前、根管充填直後、根管充填後3カ月、根管充填後半年、根管充填後約2年)
▲CT画像での経過(術前、根管充填後半年)
根管充填から3カ月後
- 痛みなし、食事も問題なくできている
- レントゲンでは根の先の影に大きな変化は見られず、経過観察
根管充填から6カ月後
- 数カ月前に軽い痛みがあったが、現在は問題なし
- レントゲン、CTを撮影し、骨の回復傾向を確認
- 経過が良好なため、かかりつけ歯科で被せ物の最終処置を依頼
根管充填から約2年後
別の歯の症状があり、ご来院されましたが、左下6番に症状や異常はなし。
- レントゲンで確認したところ、さらに骨の改善が見られました。
まとめ:治療した歯でも再治療で改善できることがあります
複数回根管治療を受けた歯でも、処置が不十分な場合や根の形が複雑な場合には、炎症が再発することがあります。
今回のように、治療歴がある歯でも、再根管治療によって改善が得られるケースは少なくありません。
CTやマイクロスコープを活用しながら、根管内の感染源を的確に除去し、丁寧な処置を行うことで、骨の回復も期待できます。
- 「治療した歯がまた痛む」
- 「違和感があるけど大丈夫かな?」
と不安を感じる方は、放置せずに早めのご相談をおすすめします。
当院ではCT診断やマイクロスコープを活用した精密な根管治療を、すべて自由診療にて行っています。
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