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カテゴリ: コラム

コラム【根管治療を途中でやめた歯はどうなる?】開けっ放し・中断によって起こるリスクを解説

根管治療(歯の神経の治療)は、
「何回も通う必要がある」「痛みが落ち着いたから一旦やめた」
といった理由から、治療が途中で中断されてしまうケースが見られます。

しかし、根管治療は途中でやめた場合にこそトラブルが起こりやすい治療でもあります。

この記事では、

  • 根管治療を途中でやめると歯の中で何が起きているのか
  • 「開けっ放し」の状態がなぜ問題になるのか
  • 中断後に治療を再開すると難しくなる理由

について、できるだけわかりやすく解説します。


根管治療は「途中まで」では意味がありません

根管治療は、
① 感染した神経や汚れを取り除く
② 根の中を洗浄・消毒する
③ 細菌が入らないように密閉する

という一連の工程すべてがそろって初めて成立する治療です。

歯の根の中は非常に複雑な形をしており、
一般的な歯科医師が、保険診療の範囲内で、1回のみの治療で完了させるのは、非常に困難な場合が多いのが実情です。

症例によっては、条件が整えば1回で根管充填まで行うこともありますが、
多くの場合は、経過を確認しながら複数回に分けて治療を進めていくことになります。

このうち、③の「密閉」まで完了していない状態は、
実は「治療中」というよりも、感染しやすい不安定な状態にあります。


「開けっ放し」の歯の中で起きていること

根管治療の途中で、

  • 仮のフタが取れたままになっている
  • 通院をやめてしまった
  • 痛みがなくなったので様子を見ている

といった状態になると、歯の中では次のようなことが起こります。

● 唾液と一緒に細菌が入り続ける

口の中には常に多くの細菌が存在しています。
歯の中が開いた状態では、唾液と一緒に細菌が根の奥まで入り込むことになります。

● いったんきれいにした根管が再汚染される

治療途中でどれだけ丁寧に清掃していても、
密閉されていなければ、その効果は失われてしまいます。

● 痛みがなくても感染は進行する

神経を取った歯は、痛みを感じにくくなります。
そのため、自覚症状がないまま感染が進行していることもあります。


根管治療を途中でやめたあとに起こりやすい症状

中断後、しばらくしてから次のような症状が出ることがあります。

  • 噛むと違和感や痛みが出る
  • 歯ぐきが腫れる
  • ニキビのような膿の出口(フィステル)ができる
  • 何度も同じ場所が腫れたり引いたりを繰り返す
  • レントゲンで根の先に黒い影が見える

これらは、根の先に炎症や感染が起きているサインです。


治療を中断していた期間が長くなると

治療を中断していた期間が長くなるほど、
歯や根管内の状態が変化し、治療の選択肢が限られてしまうことがあります。

● 治療が複雑になる

治療を中断している間に、根管内の状態が変化し、再治療の際に根管の確認や洗浄が難しくなる場合があります。

また、感染が長期間残った状態が続くことで、歯の根の先だけでなく、周囲の歯ぐきや骨にも炎症が及び、歯周病のリスクが高まることがあります。

その結果、根管治療だけでは十分な改善が得られない状態に進行してしまうこともあります。

● 通院期間が長くなる

再感染や根管内の状態悪化が認められると、洗浄・消毒をより慎重に行う必要があり、
治療回数や通院期間が増えることがあります。

● 費用の負担が大きくなる

治療内容が複雑になることで、処置回数や使用する器材が増え、
結果的に費用の負担が大きくなる可能性があります。

● 痛みや腫れが長引く

中断期間中に感染が進行している場合、
治療を再開しても痛みや腫れがすぐに落ち着かず、症状が長引くことがあります。

痛みや腫れの様子を見ながら、段階的に治療を進める必要が出てくることもあります。

● 抜歯が必要になる可能性が高まる

根管治療を行った歯は、神経や血管を除去し、歯を削っているため、
健康な歯に比べて脆くなる傾向があります。

治療途中の状態で放置されると、噛む力が一部に集中する場合もあり、
歯の根にひびが入ったり、割れてしまう(歯根破折)ことが起こる場合があります。

歯根破折が確認された場合、
歯を残すことが難しくなり、抜歯を選択せざるを得ないケースもあります。


「痛くないから大丈夫」は通用しません

根管治療の途中で、
「痛みがなくなったから治ったと思った」
と感じる方もいらっしゃいます。

しかし、
痛みは一時的に治まっても、細菌が完全に除去されているとは限りません。

仮のフタ(仮封)は一時的な処置であり、
長期間にわたって細菌の侵入を完全に防ぐものではありません。


もし根管治療を中断してしまった場合

  • 仮のフタが取れてしまった
  • 以前の根管治療を途中でやめている
  • 症状はないが、治療途中の歯がある

このような場合は、
症状がなくても一度きちんと診査を受けることが大切です。

レントゲンやCTで状態を確認することで、

  • 治療の再開が可能か
  • 追加処置が必要か
  • 経過観察でよいか

を判断することができます。


まとめ

根管治療は、
歯の寿命を延ばすために重要な治療のひとつです。

  • 1回の治療だけで完了するケースは限られている
  • 痛みがなくなっても、治療が完了したとは限らない
  • 中断すると治療が難しくなる可能性がある

「途中で止まっている治療がある」「放置してしまっている歯がある」
という方は、抜歯になる前に一度ご相談ください。


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📍東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
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最後までお読みいただきありがとうございました。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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【年始のご挨拶】紹介状がなくても受診できますか?

新年あけましておめでとうございます。
世田谷区・二子玉川の坂上デンタルオフィスです。

本年も、患者さま一人ひとりのお口の状態としっかり向き合い、
安心して治療を受けていただける診療を心がけてまいります。


年が明けると、
「そろそろ歯のこともきちんと見てもらおうかな」
「去年から気になっていたけれど、つい後回しにしていた」
そんなお気持ちになる方も多いのではないでしょうか。

その中で、よくいただくご質問のひとつが、
「紹介状がなくても診てもらえますか?」
というものです。


紹介状がなくても診察は可能です

「紹介状がないと受診できないのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、
当院では紹介状がなくてもご相談いただけます。

気になる症状がある場合や、
「この状態で相談していいのかわからない」という場合でも、
まずはお気軽にご相談ください。

紹介状は必須のものではありません

紹介状は、患者さまが受診のために無理にご用意いただくものではありません。
紹介状は、これまでの治療内容や経過を踏まえ、
かかりつけ歯科医院の先生が、より専門的な診断や治療が必要と判断された場合に
作成されることが多いものです。

そのため、紹介状がなくても
「相談だけしてみたい」
「今の状態を一度きちんと診てほしい」
という段階での受診も可能ですので、ご安心ください。

かかりつけ歯科医院とのつながりを大切にしています

当院では、これまで通われていた歯科医院とのつながりも大切に考えています。

治療内容によっては、当院での診断・治療後に、
かかりつけの歯科医院へお戻りいただき、
引き続きメンテナンスを受けていただくケースも多くあります。

「転院するかどうか」ではなく、
必要な治療を、必要なタイミングで行う
という考え方を大切にしています。

年始のこの時期に

新しい年のはじまりは、
お口の状態を見直す良いきっかけでもあります。

紹介状の有無にかかわらず、
「まず話を聞いてみたい」
「今の状態を知りたい」
という段階でも問題ありません。

気になることがありましたら、
どうぞお気軽にご相談ください。

本年も坂上デンタルオフィスをよろしくお願いいたします。


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コラム【痛みが不安な方へ】根管治療での痛みに配慮した当院の取り組み

「根管治療は痛い?」―多くの方が感じる不安

「歯の神経を取る治療は痛いと聞いて怖い」「昔やったときにとても痛かった」

そんな不安を抱えて来院される方は少なくありません。

痛みの感じ方には個人差がありますが、現在では治療技術や麻酔の進歩により、痛みを最小限に抑えた根管治療が可能になっています。

当院では、どの段階でも安心して治療を受けていただけるよう、痛みに対するさまざまな工夫を行っています。

根管治療に関する痛みや不安について患者様に丁寧に説明する坂上デンタルオフィスの院長

麻酔のときの痛みをやわらげるために

「麻酔の注射が苦手」という方はとても多いです。

当院では、できるだけ痛みを感じにくくするために次のような工夫をしています。

  • 表面麻酔を塗ってから少し時間をおくことで、針を刺すときの痛みを軽減
  • 極細の針を使用して歯ぐきへの刺激を最小限に
  • 電動麻酔機で麻酔液を一定の圧でゆっくり注入 (手動よりも圧が安定し、注入時の痛みを感じにくくなります)
  • 麻酔を急がず、時間をかけてじっくり効かせていく

このように、少し時間をかけてでも丁寧に進めることで、
「思っていたより全然痛くなかった」と感じてくださる方が多くいらっしゃいます。

治療中の痛みが出ないようにする工夫

根管治療では、歯の奥深くまで丁寧に処置を行うため、麻酔の効き具合がとても重要です。

  • 治療中も「痛みはありませんか?」「しみる感じはないですか?」とこまめに声かけ
  • 痛みや違和感がある場合は
    • 麻酔を追加してしっかり効かせる
    • 処置の方法や順番を工夫して刺激を減らす
  • 我慢しながら治療を進めることはありません

常に患者さんと確認を取り合いながら治療を進めています。

治療期間中の痛みをやわらげるための工夫

根管治療の期間中は、炎症がまだ完全に落ち着いていないことがあります。
そのため、噛んだときの刺激や治療直後の反応で、痛みや違和感がでる場合があります。

当院では、治療中の歯に負担がかからないように、次のような工夫を行っています。

  • 歯の高さを一時的に調整(削合)し、患部への負担を減らしています。
  • 治療終了後は、本来のかみ合わせに戻します。

治療後には、一時的に歯の根の先や周囲の組織が刺激を受け、数時間〜数日ほど痛みが出ることがあります。これは炎症が回復していく過程で一時的に起こるもので、ほとんどは自然に落ち着いていきます。

痛みが出た場合には、次のように対応しています。

  • 痛みや炎症の程度に応じて、痛み止めや抗生剤を処方
  • 症状の経過を丁寧に確認し、必要に応じて処置内容を調整
  • 数日経っても痛みが続く・強くなる場合は、すぐに対応

このように、治療の途中から治療後まで一貫して、
歯や周囲の組織への負担を減らし、痛みをできるだけ抑えるための工夫を行っています。

ラバーダム防湿で痛みと再感染を防ぐ

根管治療では、治療中に唾液や細菌が入り込むと再感染の原因になり、
炎症や痛みの再発につながることがあります。

当院では、治療する歯だけをゴムのシートで覆う**「ラバーダム防湿」**を必ず行っています。

ラバーダムを使用することで、次のような効果があります。

  • 唾液や細菌の侵入を防ぎ、再感染を予防する
  • 治療中に薬液や器具が口の中に触れず、刺激による痛みや不快感を防ぐ
  • 切削片や細かな器具の誤飲・誤嚥を防ぎ、安全に治療を進められる
  • 治療部位を清潔に保つことで、治療後の炎症や痛みを抑える

このように、ラバーダム防湿は痛みを減らすだけでなく、
治療の安全性と成功率を高めるうえでも欠かせない大切な工程です。

マイクロスコープ使用時の配慮

根管治療では、歯の中を正確に確認するために**マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)**を使用します。
治療部位を明るく照らして拡大視野で見るため、強い光を使用しますが、
当院では少しでも快適に治療を受けていただけるよう、次のような配慮を行っています。

  • フェイスカバーやタオルで目元を保護し、まぶしさを軽減。 水しぶきや細かな切削片、薬液からも目を守ります。
  • 覆われる感覚が不安な方には、タオルなしでの処置も可能。 ライトの角度を調整し、まぶしさを最小限に抑えます。
  • 治療前に圧迫感や息苦しさなどの不安点を確認し、 状況に応じて、できる範囲で治療時間や進め方を調整します。

不安を抱えていると、人は痛みを感じやすくなることがわかっています。
そのため、できるだけリラックスした状態で治療を受けていただけるよう、
安心できる環境づくりを大切にしています。

まとめ:痛みが不安な方へ

「神経の治療=痛い」というイメージから、根管治療に不安を感じる方は少なくありません。

しかし、現在では麻酔・治療環境・機器の進歩によって、痛みを最小限に抑えた治療が可能になっています。

当院では、次のような取り組みを通して、少しでも安心して治療を受けていただけるよう心がけています。

  • 痛みを抑えるための丁寧な麻酔
  • 治療中の確認と声かけ
  • 治療期間中の負担を減らす工夫
  • ラバーダム防湿やマイクロスコープを用いた安全で精密な治療

不安を抱えたまま我慢してしまうと、症状が進行して治療が複雑になることもあります。

「痛みが怖くて受けられない」と感じている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。

お一人おひとりの状態に合わせて、できる限り痛みの少ない・安心できる根管治療をご提案いたします。


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👉 コラム【むし歯治療をした歯が再び悪くなる6つの理由】

👉 【ラバーダムって苦しい?】ラバーダム防湿の目的

👉 【治療したはずの歯が痛む】再発した痛みと再根管治療で改善した症例


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根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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コラム【むし歯治療をした歯が再び悪くなる6つの理由】

「この歯は数年前に治療したから、もう大丈夫」
そう思っていたのに、ある日レントゲンやCTを撮ってみたら…実は再びむし歯が進行していた。
そんなケースは、決して珍しくありません。

実際に当院でも、他院で以前にむし歯治療を受けた歯に痛みも違和感もなかったにも関わらず、CT検査で根の先に大きな黒い影が見つかり、根管治療が必要になった症例があります。
👉【むし歯治療したはずの歯に起きていたこと】痛みもない奥歯の診断結果

では、なぜ「しっかり治療したはずの歯」が再び悪くなってしまうのでしょうか?
今回は、むし歯治療をした歯が再度むし歯になったり、根管治療が必要になったりする代表的な6つの理由をご紹介します。


1. むし歯が残っていた

以前治療を受けた歯でも、奥深くに小さなむし歯が取りきれずに残っていた場合、何年もかけてじわじわと悪化することがあります。痛みがないまま進行して、ある日突然、大きな問題として現れることがあります。

🔍注意すべき場所

  • 歯と歯の間
  • 歯ぐきの中(歯肉縁下)

2. 詰め物と歯の間に隙間があった(マージンギャップ)

詰め物と歯の境目にわずかなすき間ができていると、そこから細菌や汚れが入り込み再びむし歯になることがあります。最初は目に見えないほどの小さな段差でも、放っておくと大きなむし歯につながる可能性があります。

🔍原因になりやすいこと

  • CR(コンポジットレジン=歯科用プラスチック)の劣化
  • 接着不良
  • 研磨不足など

3. 詰め物のまわりにできるむし歯(二次カリエス)

詰め物そのものは問題がなくても、その周りの歯磨きがきちんとできていないと、再びむし歯ができることがあります。特に奥歯や歯と歯の間など、歯ブラシが届きにくい部分は要注意です。

✅よくあるパターン
「もう治したから大丈夫」と安心してセルフケアが雑になる


4. 歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりをよくしていたり、噛む力が強かったりすると、歯や詰め物に目には見えないほどの細かいヒビ(マイクロクラック)が入ることがあります。そこから細菌が入り込み、中でむし歯が広がっていくことがあります。

🔍こんな時は歯医者さんを受診しましょう

  • 詰め物が突然外れた
  • 欠けた、しみるなどの違和感がある

✅予防策:ナイトガードの使用などで噛む力を分散させることができます。


5. 詰め物の接着がうまくいっていなかった

歯に詰め物をくっつける時、唾液が入り込むと接着力が弱くなり、剥がれたりすき間ができやすくなったりします。

💡当院では
ラバーダム(ゴム製のシート)を使用して唾液などの影響を受けないように丁寧に治療を行っています。


6. 神経の近くまでむし歯が進んでいた

治療当時には神経を残せた歯でも、実はギリギリまでむし歯が進んでいて、数年後に神経がダメになってしまうことがあります。この場合、痛みがないまま進行することも多く、気づいたときには根の先まで感染が広がっていることもあります。

🔍CT撮影でより正確に診断
レントゲンだけでは見えにくい歯の内部の状態も、CTを撮ることで3次元的に確認することができます。


まとめ

「痛くないから大丈夫」「昔治療したから安心」と思っていても、歯の内部では静かに病気が進行していることがあります。
とくに、奥歯は見えにくく、歯と歯の間や歯ぐきの下はセルフチェックが難しい部位です。

過去に治療を受けた歯こそ、定期的なチェックとCTによる精密診断が重要です。
「昔治療した歯が心配」「最近チェックしていない」そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。


👉 初診のご予約はこちらから

当院ではCT診断やマイクロスコープを活用した精密な根管治療を、すべて自由診療にて行っています。
治療費用について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
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【ラバーダムって苦しい?】ラバーダム防湿の目的

今回のコラムは、当院に隔週水曜に来てくださっている非常勤の歯科医師・奈良麻衣先生に執筆いただきました。
根管治療を中心に幅広く診療を行っており、丁寧な説明とやさしい雰囲気で患者さんから信頼を集めています。


「根の治療をしますね。その際にゴムのマスクをつけます。」―

歯科医院でそう説明されて、驚いたり不安になったことはありませんか?

「ゴムのマスクって息苦しそう」「痛そうで怖い…」と、どうしてもネガティブなイメージを持たれる方も少なくありません。
でも実は、このラバーダムというゴムのシートは、根の治療を成功させるために欠かせない道具なのです。

神経の治療(根管治療)は、歯を残すためにとても大切な処置ですが、とても繊細で時間のかかる治療でもあります。
その治療を安全に、そして確実に行うためにラバーダム防湿は大きな役割を果たしています。

今回は、その理由を5つご紹介します。


1.感染防御

根の治療は、歯の中の細い管(根管)を清掃して細菌を取り除くことが目的です。
しかし、唾液の中には 1mLあたり数十億個もの細菌 が存在しています。
治療中にこの細菌が侵入してしまうと、炎症が治らなかったり、治療後に再発するリスクが高まります。
ラバーダムは治療中に細菌が入り込むのを防ぎ、治療の成功率を高めてくれる大切なバリアです。

ラバーダム装着前(図1)と装着後(図2)の比較写真。装着により唾液の侵入を防ぎ、清潔な環境で治療が行えることが示されている
【症例写真】

図1は、ラバーダム防湿をしていない状態で下顎第1大臼歯を治療しようとしたところです。ご覧のように、唾液が簡単に窩洞(穴)の中に侵入してしまっています。このような状況では、せっかく清掃しても細菌が入り込みやすく、治療後の再発リスクが高まってしまいます。

一方、図2のように、ラバーダム防湿を行えば唾液の侵入を防ぎ、清潔な状態で確実に処置を進めることができます。


2. 器具の誤飲・誤嚥防止

根の治療では、髪の毛ほどの細さの小さな器具を使います。
ラバーダムがあることで、万が一口の中に落ちても誤って飲み込む心配がなく、安心して治療を受けていただけます。


3.術野の明示

ラバーダムを装着することで、治療部位がはっきりと見やすくなります。
余分な唾液や舌の動きに邪魔されることがないため、より正確で精密な治療を行うことができます。


4.周囲の軟組織の保護

根管治療では薬剤を使うことがありますが、もし薬剤が舌や頬の内側に触れてしまうと刺激や傷の原因になります。
ラバーダムは器具や薬剤からやわらかい組織を守り、患者さんに余計な負担をかけないようにしてくれます。


5.飛沫感染の予防

治療中には飛沫が発生しますが、ラバーダムを使用することでその拡散を防ぎます。 これは患者さんだけでなく、歯科医師やスタッフの感染予防にもつながります。


根の治療と再発について

「昔、神経の治療を受けたのにまた痛くなってきた…」という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

根の中には酸素がある環境を好む細菌も、酸素がない環境を好む細菌も存在します。特に後者(例:Enterococcus faecalis)は根の中で繁殖しやすく、再発の原因になることがあります。

ラバーダム防湿を徹底することで、唾液に含まれる細菌が入り込むのを防ぎ、治療の成功率を高めることができます。


まとめ

ラバーダムは、

  • 細菌感染を防ぐ
  • 誤飲・誤嚥を防ぐ
  • 精密な治療を可能にする
  • お口の中を守る
  • 飛沫感染を予防する

といった多くのメリットがあります。

最初は「ゴムのマスクなんて不安」と思う方も、実は患者さんの歯を守るための安心・安全な道具だと知っていただけたのではないでしょうか。

当院では患者さんが快適に治療を受けられるように、ほぼすべての方に麻酔を行ったうえでラバーダム防湿を実施しています。

また、海外で行われたアンケート調査では、92%の患者さんが「次回もラバーダム防湿下で治療を受けたい」と回答しており、多くの方にその有用性が実感されています。

安心・安全な環境で、できる限り歯を残すための治療を行っております。
「以前治療した歯がまた痛い」「神経の治療に不安がある」という方は、ぜひ一度ご相談ください。


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【歯の根の形って1本1本ちがう?】複雑な根管に挑む専門治療の現場

「歯の根って、みんな同じ形じゃないの?」

そう思われる方は多いかもしれません。
実は、歯の根の中を通る“神経の管(根管)”の形は、1本1本異なるのが当たり前なのです。
まっすぐな根もあれば、曲がったり、複雑に枝分かれしていたりする根もあります。
根の形が違えば、治療の進め方や難易度も変わります。

当院ではCTやマイクロスコープを活用し、1本1本異なる根の形を正確に把握したうえで、丁寧な治療を行っています。

今回は、そんな“見えない部分”である歯の根の形についてご紹介します。


歯の中の「根管」って?

歯の断面図イラスト。エナメル質・象牙質・歯髄・歯肉・歯槽骨・歯根膜の位置と名称が示され、歯髄は痛みなどの刺激を脳へ伝える役割があると説明されている

歯の中には「根管」と呼ばれる細い管があり、その中に歯髄(しずい)という神経や血管を含む組織が入っています。

歯髄があることで、歯は痛みや温度変化を感じ、酸素や栄養が届けられて健康な状態が保たれます。
歯髄は歯の中心から根の先端まで伸びていて、**その通り道が「根管」**です。

むし歯が進行して歯髄に炎症が起きると、**根管内を清掃して隙間なく封鎖する「根管治療」**が必要になります。

根管はとても細かく入り組んだ形をしていることが多いため、治療には高い技術と慎重な判断が欠かせません。

👉関連記事:【歯の神経を残せるか不安な方へ】残す治療と抜く判断のポイント


歯の根は1本1本ちがうって本当?

同じ種類の歯でも、歯の根の本数や形は人によって異なります。
たとえば奥歯(大臼歯)は通常2〜3本の根がありますが、まれに4~5本あることもあります。

また、一見1本に見える根の中でも、C字状に複雑につながっているケースや、枝分かれしているケースも珍しくありません。


どんな形があるの?〜代表的な根管の形~

Vertucci分類

根管の形の基本的な分類に「Vertucci(ベルトゥッチ)分類」というものがあります。
これは、根管がどのように枝分かれし、どのようにつながっているかを8つのパターンに分けたものです。実際の歯では、この分類に収まらないようなさらに複雑な形も多く見られるため、治療前の精密な診断がとても重要です。

▼ Vertucci分類図

根管形態の分類図。Type1~Type8までの8種類の形態が図と説明付きで示されており、分岐や合流のパターンの違いがわかる


複雑な根管形態のいろいろ

歯の根の形は、Vertucci分類のような基本パターンに加えて、さらに多くの複雑な形態があります。
中には治療が難しく、根管を見逃したり、感染が残り炎症が起きたりするリスクが高まる場合もあります。
ここでは、実際の歯科治療の現場でよく遭遇する複雑な根管形態の一例をご紹介します。

▼根管形態図

根管の複雑な形態や変異を図と説明で示した一覧表。側枝・分岐・湾曲・フィン・イスムス・癒合歯など、治療上の注意点が解説されている


根の形に合わせた根管治療で、歯をできるだけ残す

歯の根の形は、一人ひとり違い、ときにはとても複雑なこともあります。
そうした見えにくい部分までしっかり診断し、その歯に合った方法で、できるだけ歯を残せるように治療を行うことが大切です。

「抜歯しかないかも…」と感じたときも、まずはCTやマイクロスコープを活用した精密な検査を受けてみませんか。治療の可能性は、診てみないと分からないこともたくさんあります。

もし気になる歯がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


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👉【症状がないのに治療が必要?】CTで見つかった神経に近い黒い影と複雑な樋状根の治療例
└ 今回紹介した「樋状根」が見つかった実際の症例。無症状でも治療が必要になることも。

👉【左下の歯ぐきがしびれる】下顎管に近接した根尖の黒い影が改善した症例
└ 根の先が神経の近くにあるうえ、大きく曲がっている難しいケース

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【歯の神経を残せるか不安な方へ】残す治療と抜く判断のポイント

神経を抜くと言われて不安な方へ

「神経を取る必要があります」——歯科医院でこう告げられて、不安になったことはありませんか?

歯の神経(歯髄)は、できる限り残したい大切な組織です。 しかし、症状やむし歯の進行具合によっては、どうしても抜かなければならない場合もあります。

この記事では、

  • 神経を残せるかどうかの判断基準
  • 神経を残す治療のメリット・リスク
  • 抜髄(神経を取る処置)が必要になるケース をわかりやすくご紹介します。

歯の神経とその役割を知る

歯髄が果たす大切な働き

歯の内部には「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経や血管が通っています。 これは、歯に酸素や栄養を届け、健康な状態を保つための大切な組織です。

歯の構造と神経の位置関係(図解)

📍 図:歯の構造と歯髄の働き

歯の断面図。エナメル質・象牙質・歯肉・歯槽骨・歯根膜・歯髄がラベル付きで示されている

  • エナメル質:歯の一番外側にある硬い部分
  • 象牙質:その内側にあり、神経に近い層(エナメル質より軟らかい)
  • 歯髄:神経や血管が集まり、歯に栄養や感覚を与える
  • 歯槽骨:歯を支えるあごの骨
  • 歯根膜:歯根とあごの骨(歯槽骨)をつなぐ靭帯、膜状になっている

この歯髄があることで、歯は“生きている”状態を保ち、外部からの刺激を感知することができます。


神経を残す治療とは?

歯髄保存処置ができるケース

むし歯が深くても、神経まで完全に感染していなければ、**「歯髄保存処置」**という方法で神経を残すことができます。

  • 冷たいものがしみるなどの軽度な症状
  • 自然に痛みがおさまることがある

このような状態であれば、慎重に処置することで神経を温存し、歯の寿命を延ばすことができます。

神経を残すメリット

  1. 感覚の維持:温度や痛みの感覚が残るため、自然な使い心地を維持できます。
  2. 歯の強度保持:歯に栄養が届きやすく、長期的に歯が割れにくくなります。
  3. 違和感の少ない仕上がり:神経があることで、治療後の感覚も自然です。

神経を抜く必要があるのはどんな時?

抜髄が必要な主な症状・所見

以下のような状態では、神経がすでに炎症や感染を起こしており、**抜髄(ばつずい)**という神経を抜く処置が必要になります。

  • 何もしていなくてもズキズキと痛む(自発痛)
  • 夜眠れないほどの強い痛み
  • 歯ぐきにウミの出口(瘻孔)がある
  • レントゲンやCTで根の周囲に黒い影(根尖病変)が見られる

これらはすでに歯髄が細菌感染しているサインであり、残しておくと悪化する恐れがあります。

神経を抜いた歯の変化と処置(根管治療)

神経を抜くと、歯は栄養供給を失い、細菌に対して抵抗力を失います。 そのままでは細菌が繁殖しやすいため、根管治療(歯の内部の清掃・封鎖)を行って感染を防ぎます。


神経を抜かざるを得ない原因とは

むし歯だけじゃない!5つの抜髄原因

抜髄が必要になる主な原因には、次のようなものがあります:

  1. むし歯(カリエス):進行したむし歯が神経に達すると炎症や感染が起こり、抜髄が必要になります。特に治療が遅れると痛みや腫れを引き起こすため、抜髄を避けることが難しくなります。
  2. 外傷(打撲・事故など):転倒や事故などで歯を強く打った際、神経が損傷して抜髄が必要になることがあります。
  3. 歯のひび割れ(クラック):歯にひびが入り、その亀裂が神経に達すると、強い痛みを生じます。ひび割れからの細菌感染を防ぐために神経を取る処置が必要になります。
  4. 重度の歯周病:進行した歯周病によって歯の根に感染が広がり、神経にも悪影響を及ぼすことがあります。
  5. 過度な歯科治療や修復物による刺激:詰め物や被せ物のやり直しを繰り返すと、神経に負担がかかり、炎症が起きて抜髄が必要になることがあります。

最も多い原因は「進行したむし歯」です。むし歯を早期に発見し、適切な処置を受けることで神経を守れる可能性が高まりますが、症状が進行すると抜髄が避けられない場合もあります。

進行による歯の状態の変化(図解)

下記の図は、むし歯の進行にともなう歯の内部の変化を示しています:

歯の神経の状態の違いを示した断面図。健康な歯、むし歯が神経に達した歯(根尖に黒い影あり)、根管治療を受けた歯の3段階を比較。神経の保存や抜髄、根管治療の必要性を視覚的に説明。

  1. 健康な歯:神経が生きており、刺激に反応できる状態
  2. 神経に達したむし歯:痛みや炎症が起きている段階
  3. 神経を除去した歯(抜髄後):根管治療によって清掃された状態

感染した神経を残すリスク

症状が悪化する前にすべき判断とは?

「できれば神経は残したい」と思う方は多いですが、感染した神経を無理に残すと、以下のようなリスクがあります:

  • 痛みや腫れが長引く
  • 歯の周囲の骨が溶けてしまう(骨吸収)
  • 骨吸収がすすみ、抜歯に至るケースも

そのため、感染が疑われる場合には、早期に神経を除去し、適切な治療を行うことが大切です。


まとめ:歯の神経を残すか、抜くかの判断基準

患者さんごとの最適な治療方針とは?

神経を残すか、抜くかの判断は、歯の状態や症状、画像所見をもとに慎重に行います。

当院では、CTやマイクロスコープなどの精密検査をもとに、できるだけ神経を残す治療を心がけつつ、無理のない範囲で最適な処置をご提案しています。

不安な方は精密検査での相談を

「神経を抜く」と言われて不安な方も、まずは一度ご相談ください。

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