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タグアーカイブ: 歯を残す治療

コラム【根管治療を途中でやめた歯はどうなる?】開けっ放し・中断によって起こるリスクを解説

根管治療(歯の神経の治療)は、
「何回も通う必要がある」「痛みが落ち着いたから一旦やめた」
といった理由から、治療が途中で中断されてしまうケースが見られます。

しかし、根管治療は途中でやめた場合にこそトラブルが起こりやすい治療でもあります。

この記事では、

  • 根管治療を途中でやめると歯の中で何が起きているのか
  • 「開けっ放し」の状態がなぜ問題になるのか
  • 中断後に治療を再開すると難しくなる理由

について、できるだけわかりやすく解説します。


根管治療は「途中まで」では意味がありません

根管治療は、
① 感染した神経や汚れを取り除く
② 根の中を洗浄・消毒する
③ 細菌が入らないように密閉する

という一連の工程すべてがそろって初めて成立する治療です。

歯の根の中は非常に複雑な形をしており、
一般的な歯科医師が、保険診療の範囲内で、1回のみの治療で完了させるのは、非常に困難な場合が多いのが実情です。

症例によっては、条件が整えば1回で根管充填まで行うこともありますが、
多くの場合は、経過を確認しながら複数回に分けて治療を進めていくことになります。

このうち、③の「密閉」まで完了していない状態は、
実は「治療中」というよりも、感染しやすい不安定な状態にあります。


「開けっ放し」の歯の中で起きていること

根管治療の途中で、

  • 仮のフタが取れたままになっている
  • 通院をやめてしまった
  • 痛みがなくなったので様子を見ている

といった状態になると、歯の中では次のようなことが起こります。

● 唾液と一緒に細菌が入り続ける

口の中には常に多くの細菌が存在しています。
歯の中が開いた状態では、唾液と一緒に細菌が根の奥まで入り込むことになります。

● いったんきれいにした根管が再汚染される

治療途中でどれだけ丁寧に清掃していても、
密閉されていなければ、その効果は失われてしまいます。

● 痛みがなくても感染は進行する

神経を取った歯は、痛みを感じにくくなります。
そのため、自覚症状がないまま感染が進行していることもあります。


根管治療を途中でやめたあとに起こりやすい症状

中断後、しばらくしてから次のような症状が出ることがあります。

  • 噛むと違和感や痛みが出る
  • 歯ぐきが腫れる
  • ニキビのような膿の出口(フィステル)ができる
  • 何度も同じ場所が腫れたり引いたりを繰り返す
  • レントゲンで根の先に黒い影が見える

これらは、根の先に炎症や感染が起きているサインです。


治療を中断していた期間が長くなると

治療を中断していた期間が長くなるほど、
歯や根管内の状態が変化し、治療の選択肢が限られてしまうことがあります。

● 治療が複雑になる

治療を中断している間に、根管内の状態が変化し、再治療の際に根管の確認や洗浄が難しくなる場合があります。

また、感染が長期間残った状態が続くことで、歯の根の先だけでなく、周囲の歯ぐきや骨にも炎症が及び、歯周病のリスクが高まることがあります。

その結果、根管治療だけでは十分な改善が得られない状態に進行してしまうこともあります。

● 通院期間が長くなる

再感染や根管内の状態悪化が認められると、洗浄・消毒をより慎重に行う必要があり、
治療回数や通院期間が増えることがあります。

● 費用の負担が大きくなる

治療内容が複雑になることで、処置回数や使用する器材が増え、
結果的に費用の負担が大きくなる可能性があります。

● 痛みや腫れが長引く

中断期間中に感染が進行している場合、
治療を再開しても痛みや腫れがすぐに落ち着かず、症状が長引くことがあります。

痛みや腫れの様子を見ながら、段階的に治療を進める必要が出てくることもあります。

● 抜歯が必要になる可能性が高まる

根管治療を行った歯は、神経や血管を除去し、歯を削っているため、
健康な歯に比べて脆くなる傾向があります。

治療途中の状態で放置されると、噛む力が一部に集中する場合もあり、
歯の根にひびが入ったり、割れてしまう(歯根破折)ことが起こる場合があります。

歯根破折が確認された場合、
歯を残すことが難しくなり、抜歯を選択せざるを得ないケースもあります。


「痛くないから大丈夫」は通用しません

根管治療の途中で、
「痛みがなくなったから治ったと思った」
と感じる方もいらっしゃいます。

しかし、
痛みは一時的に治まっても、細菌が完全に除去されているとは限りません。

仮のフタ(仮封)は一時的な処置であり、
長期間にわたって細菌の侵入を完全に防ぐものではありません。


もし根管治療を中断してしまった場合

  • 仮のフタが取れてしまった
  • 以前の根管治療を途中でやめている
  • 症状はないが、治療途中の歯がある

このような場合は、
症状がなくても一度きちんと診査を受けることが大切です。

レントゲンやCTで状態を確認することで、

  • 治療の再開が可能か
  • 追加処置が必要か
  • 経過観察でよいか

を判断することができます。


まとめ

根管治療は、
歯の寿命を延ばすために重要な治療のひとつです。

  • 1回の治療だけで完了するケースは限られている
  • 痛みがなくなっても、治療が完了したとは限らない
  • 中断すると治療が難しくなる可能性がある

「途中で止まっている治療がある」「放置してしまっている歯がある」
という方は、抜歯になる前に一度ご相談ください。


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🦷 坂上デンタルオフィス

📍東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
📞 03-6805-6546

最後までお読みいただきありがとうございました。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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【歯ぐきの腫れとウミが治らない】抜歯を勧められた歯を根管治療で残せた症例

こんにちは。
世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている、坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

今回は、**歯ぐきの腫れやウミがなかなか治らず、大学病院での抜歯を勧められた患者さんが、当院での精密根管治療により歯を残すことができた症例**をご紹介します。

ウミや腫れが続くと、「やっぱり抜くしかないのかな……」と不安に思われる方も多いかと思います。
しかし、CTやマイクロスコープを活用した精密な診断と治療により、歯を救える可能性もあります。

「抜歯」と言われた方も、まずは一度ご相談ください。


初診時の状態と診査結果

カウンセリング(現在の症状や経過の確認)

  • ・他院で2カ月前に歯の根に炎症があり、根管治療を開始。
  • ・**ラバーダム(※1)**を使用して治療を受けていたが、ウミが止まらない。
  • ・大学病院を紹介され、「抜くように」と言われた。
  • ・治療途中で、痛みはない。

ラバーダムを使用して治療する際の参考写真。ゴム製のシートで治療部位を隔離する様子を示したイメージ画像。

※1 ラバーダムとは
ゴムまたはシリコン製のシート状のもので、治療する歯の周囲を覆います。これにより唾液の侵入を防ぎ、治療精度の向上や患者様の快適性向上が期待できます。

口腔内診査・レントゲン・CT撮影

カウンセリング後、口腔内診査と撮影を行い、患者様に現在の状態を説明しました。

初診時の口腔内写真。治療中の歯に白い仮の蓋が入り、隣の歯ぐきに腫れが見られる様子。 初診時の口腔内写真(図1)。治療中の歯と隣の歯ぐきに腫れが見られる部位を赤丸と矢印で示した画像。
▲ 初診時の口腔内写真
治療中の歯は、写真左側の白い仮の蓋が入っている歯です。(図1の矢印で示す歯)
治療中の歯の隣にある歯の歯ぐきにも腫れが見られます。(赤丸部分)

続いて、レントゲンとCTを用いて腫れの原因を詳しく調べました。

初診時のレントゲン画像(左下7番)。治療中の歯の根の先と根の周囲に黒い影が確認されるが、下顎骨に覆われておりはっきりと確認できない状態。
▲初診時のレントゲン(左下7番)
治療中の歯の根の先と根の周囲にも黒い影があります。(矢印で示している部分)
しかし、下顎の骨に覆われており、レントゲンでははっきりと確認することが難しい状態です。

初診時のCT画像。治療中の歯の根の先と根の周囲に大きな黒い影が確認でき、隣の歯の根の先にも影が及んでいる様子。
▲初診時のCT画像
歯の根の先と根の周囲に大きな黒い影があります。
また、隣の歯の根の先まで黒い影が及んでいることが確認できます。
CT撮影の結果、治療中の歯の隣にある歯の歯ぐきが腫れている原因を特定できました。

治療方針とリスク説明

現在の状態
  • レントゲン・CT撮影の結果、治療中の歯の根の先に黒い影を確認。
  • 縦に長い黒い影が見られるため、歯根破折(歯の根が割れている可能性)が疑われる。
  • 根が長く、若干曲がっているため、精密な治療が必要。
  • 歯ぐきの腫れの原因は、治療中の歯の影響と考えられる。
今後の治療方針
  • まずは根管治療を行い、慎重に経過を観察。
  • 根管治療を行っても改善が見られない場合、意図的再植術(歯を一度抜いて治療し、戻す方法)が必要となる可能性がある。

また、治療の費用およびリスク、注意点についても説明し、ご理解いただいた上で治療を開始しました。


治療経過と根管充填後の変化

治療開始前と治療終了後の口腔内比較写真。治療中の歯と隣の歯ぐきの腫れが、根管治療後に改善している様子。
▲初診時と根管治療後の歯ぐきの変化
歯ぐきの腫れ(ウミの出口)が治っています。

根管充填直後のレントゲン写真(角度①)。大臼歯の根管を隙間なく充填し、重なった根管の状態を確認している。 根管充填直後のレントゲン写真(角度②)。角度を変えて撮影し、すべての根管が適切に充填されているかを確認している。
▲根管充填直後のレントゲン
根管を処置できるところまで清掃を行い、隙間なく根管充填を行いました。

大臼歯の場合、根管が重なってレントゲン画像として映るため、根管充填直後は角度を変えて2枚レントゲンを撮ることが多いです。これにより、すべての根管が適切に充填されているかを確認し、治療の精度を高めることができます。

充填後は、感染が再発しないか、周囲の骨の状態が改善しているかを確認するために、経過観察を行います。レントゲンやCTを用いて、根管周囲の骨の治癒状況をチェックし、必要に応じて追加の処置を検討します。


経過観察

術前、根管充填直後、根管充填後半年のレントゲン比較写真。歯ぐきの腫れと骨の回復が経過とともに改善している様子が確認できる。
▲初診時から根管充填後半年のレントゲン比較画像

	術前と根管充填後半年のCT比較画像。3D画像と断層画像を用いて、治療により歯ぐきの腫れや骨の回復が確認できる様子を示している。
▲初診時と根管充填後半年のCT比較画像
半年後のレントゲンおよびCT画像では、根管周囲の骨の回復が見られ、順調に治ってきていることが確認できます。

根管治療をしている歯は、根管治療を行っていない歯より割れやすいため、この後は最終的な被せ物を入れていきます。


まとめ:抜歯を回避するために大切なこと

今回の患者様は、治療中にもかかわらず歯ぐきの腫れとウミが治まらず、抜歯を勧められたという状況で当院を受診されました。

レントゲンとCTによる精密な検査を行った結果、
治療中の歯の根の周囲に黒い影が広がり、隣の歯にまで影響が及んでいることが判明しました。
一見すると非常に厳しい状態でしたが、マイクロスコープを用いた精密な根管治療によって、治療後には歯ぐきの腫れが治まり、半年後のCT検査でも骨の回復が確認でき、最終的に抜歯を回避することができました。

この症例からもわかるように、

  • 「抜歯するように」と言われた歯でも、残せる可能性があること
  • CTとマイクロスコープを用いた正確な診断と精密な治療によって歯を救える可能性があること

が示されています。

もし現在、治療を続けていても症状が改善せず不安を感じている方や、抜歯を勧められて悩んでいる方は、あきらめる前にぜひ一度ご相談ください。


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治療費用について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
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👉 根管治療とは

👉 当院での根管治療(9):歯ぐきの腫れ、根の周囲に垂直的な黒い影が改善した症例

👉 当院での根管治療(8):根の周囲に垂直的な黒い影が改善した症例

あなたの大切な歯を守るために、一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。


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最後までお読みいただきありがとうございました。

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