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タグアーカイブ: マイクロスコープ

【左下の歯ぐきがしびれる】下顎管に近接した根尖の黒い影が改善した症例

こんにちは。
世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

今回は、「左下の歯ぐきがしびれる」という症状でご来院された患者様の症例をご紹介します。

前回の「【症状がないのに治療が必要?】CTで見つかった神経に近い黒い影と複雑な樋状根の治療例」では、下顎管(神経の通り道)に近接した根尖部の黒い影(骨がない部分)が見つかったケースをご紹介しましたが、今回は実際にしびれの症状が出ていたケースです。

「下顎管」と聞くと親知らずの抜歯を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はそれ以外の歯でも、CTを用いた正確な診断と慎重な根管治療によって、症状の改善が期待できるケースがあります。

本症例では、マイクロスコープ下で慎重に根管治療を行い、しびれの改善と炎症の消退が確認されました。


初診時の状態:歯ぐきのしびれが起きたときの状態とは?

患者様は、左下7番(第二大臼歯)に噛んだときの痛みと、歯ぐきや唇・顎の皮膚のしびれを感じているとのことで、紹介元の歯科医院から当院を受診されました。

CT検査では、歯の根の先に黒い影(骨がない部分)があり、それが下顎管に非常に近接していることが確認されました。


検査と診断:CTでわかった根尖病変と下歯槽神経との距離

  • 自発痛:なし
  • 打診痛:軽度
  • 圧痛・腫れ:なし
  • レントゲン所見:根尖に黒い影
  • CT所見:黒い影が下歯槽神経(下顎の歯や歯肉、唇などを支配する感覚神経)を通す下顎管に近接
  • 根管形態:未処置、2根管で強い湾曲あり

術前のレントゲン画像:左下の奥歯に根尖の黒い影が確認される 図1:根管がくの字に湾曲している様子を赤いラインで示したレントゲン画像

術前CT画像:左下の歯の根の先に黒い影があり、下顎管に近接していることがわかる」 図2:CT画像で下顎管(黄色)と根尖の黒い影(青色)の位置関係を示した画像


治療方針とリスク説明:しびれの改善を目指した根管治療と注意点

根尖部の黒い影が下顎管に近接しているため、治療による神経への影響を最小限に抑えることが最も重要と判断しました。

また、根管治療を行っても「しびれの症状が必ずしも回復するとは限らない」という点についても、あらかじめ十分にご説明し、同意のうえで治療を開始しました。


治療経過

▶ 第1回目の治療

銀歯を外し、ラバーダム防湿下でむし歯を丁寧に除去し、根管治療の準備として隔壁を作製しました。

根管内の清掃では、根管の大きな湾曲に注意しながら以下の点に留意して処置を行いました。

  • 細い器具を使用して、無理なく根の先まで到達できるようにグライドパス(器具の通り道)を確立
  • 柔軟性のあるNiTi(ニッケルチタン)ファイルを用い、根のカーブに沿って慎重に拡大
  • 根管の形態を壊さないように、一度に大きく削らず、少しずつ段階的に処置

▶ 第2回目の治療

来院時、「しびれが少しずつ軽くなってきた」とのことでした。

根管内の清掃を引き続き丁寧に行い、その後、慎重に根管充填を行いました。
その後、ポスト・コア(支台築造)を実施しています。
根管充填時に少量のシーラー(根管充填材)が根尖部から漏出しましたが、痛みなどの症状は認められなかったため、経過観察としました。

第3回目の治療

治療開始時に訴えのあったしびれと痛みはほぼ消失しており、症状は大きく改善していました。
支台の形態を整え、仮歯を装着して治療を終了しました。

根管治療に伴う左下奥歯の治療経過:銀歯除去から仮封、ポスト・コア築造、仮歯装着までの4段階の比較写真


経過観察:治療後のしびれの変化とCT画像の変化

  • 根管充填後3カ月:痛み・しびれともに消失。レントゲン画像は大きな変化なく、経過観察。
  • 根管充填後6カ月:痛みなく食事できる。レントゲンとCTで黒い影の縮小と**下顎管からの距離の回復(骨再生の兆候)**を確認

根管治療による黒い影の変化を示したデンタルX線画像:術前・根管充填後・3カ月後・半年後の比較

CT画像による根尖病変の変化比較:術前と根管充填後半年、黒い影の縮小が確認される


まとめ:しびれが改善した神経に近接した歯の治療例

今回のケースでは、治療開始時に見られた歯ぐきや唇のしびれが、根管治療の経過とともに徐々に軽減し、最終的には痛みもなく快適に食事ができる状態まで回復しました。

しびれの原因は、歯の根の先にあった炎症(根尖病変)が、下顎の神経(下歯槽神経)に近接していたことによるものと考えられますが、的確な診査・診断と慎重な処置を重ねることで、神経症状の改善が期待できるということを、あらためて確認できた症例でした。

なお、根管治療後の回復には個人差があり、すべてのケースで同様の結果が得られるとは限りませんが、気になる症状や違和感がある場合には、できるだけ早めに専門的な診察を受けることをおすすめします。

不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


🦷 坂上デンタルオフィス

📍東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
📞 03-6805-6546

最後までお読みいただきありがとうございました。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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【症状がないのに治療が必要?】CTで見つかった神経に近い黒い影と複雑な樋状根の治療例

こんにちは。
世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている坂上デンタルオフィスの坂上斉です。


「痛みも腫れもないのに治療が必要なんですか?」

これは、今回の患者様が来院されたきっかけでもあり、多くの方が疑問に思われることかもしれません。
実際、今回ご紹介する症例でも、痛みのない状態で、他院での定期健診のCTにより根の先に黒い影(骨がない部分)が見つかりました。

歯ぐきや唇のしびれ、痛みなどの症状はないものの、黒い影が下顎管(神経や血管の通り道)に近接している状態で、さらに歯の構造が複雑な「樋状根(といじょうこん)」という特徴を持つことから、治療は慎重を要するものでした。


初診時の状態:症状がないのにCTで見つかった「黒い影」

患者様は、他院での定期健診の際に撮影されたCT画像で、左下7番(第二大臼歯)の根尖に黒い影(骨がない部分)があると指摘され、専門的な診断と治療を希望して当院を受診されました。

検査と診断:CT診断とレントゲンで分かった「樋状根」と神経との距離

  • 自発痛:なし
  • 打診痛:軽度
  • 圧痛・腫脹:なし
  • レントゲン・CT所見:根尖の骨がなくなっており、下顎管とつながっている
  • 解剖学的特徴:樋状根(複雑な根管形態)、根尖部にわずかな湾曲あり

術前のレントゲン画像:症状がない歯の根の先に黒い影が認められる 図1:下顎管(黄色)に近接した根尖の黒い影(青色)が確認できる注釈付きレントゲン画像

術前CT画像:樋状根の根管形態と立体構造が示されている 図2:複雑な樋状根(赤)、下顎管(黄)、根尖の黒い影(青)の位置関係を示す注釈付きCT画像


樋状根と神経の近接が治療を難しくする

以前のブログ「当院での根管治療(10)」でもご紹介したように、「樋状根」は非常に複雑な根管形態を持つため、治療が難しく、予後が悪くなる可能性があります。

今回の症例では、その樋状根に加えて、根尖部の炎症によって骨が失われた部分が、「下顎管(かがくかん)」とつながっていることが、レントゲンとCTで確認されました。

■ 下顎管とは?

下顎管とは、下あごの骨の中を通る細いトンネルのような構造で、その中には「下歯槽神経」や「血管」が通っています。

この神経は、下の奥歯や歯ぐき、下唇やあごの皮膚の感覚を司っているため、治療中に誤って刺激したり損傷してしまうと、

  • 顎や唇にしびれが出る
  • 感覚が鈍くなる、麻痺が残る

といったリスクが生じることがあります。

このような理由から、下顎の奥歯の根管治療では特に慎重なアプローチが求められます。
とくに女性は顎の骨が小さく、歯の根と神経の距離が短いことが多いため、より注意が必要です。


ファイル試適の意義と治療の工夫

ファイル試適時のレントゲン画像:複雑な樋状根の根管内に器具を挿入し、根尖までの長さを確認している

治療にあたっては、CT画像を参考にしながら、根管の形態と神経との距離を正確に把握し、**ファイル試適(根管内の長さや形態を確認するプロセス)**を慎重に行いました。

とくに以下の点に注意を払いました:

  1. 根管の長さの正確な測定
     → 下顎管との距離を考慮し、安全な範囲で根管長を決定。
  2. 根管形態の把握
     → 樋状根の複雑性をCTと照らし合わせながら確認。
  3. 病変と神経の位置関係の確認
     → 根尖病変が神経と近接しているため、過度な拡大は避ける。

治療中は、患者様に顎のしびれや違和感がないかを逐一確認しながら慎重に進めました。


経過観察:黒い影の消失と骨の再生を確認

治療後、「念のため再確認したい」とのことで、根管充填から2年後にレントゲンとCTを撮影しました。

  • 腫れ・痛み・しびれなどの症状は一切なく、非常に安定した状態
  • 根尖部にあった黒い影は完全に消失し、骨がきれいに再生していることを確認

レントゲン画像による経過観察:術前・根管充填後・半年後・2年後の比較。根尖の黒い影が消失している

CT画像による経過観察:術前・根管充填後半年・2年後。複雑な樋状根と根尖病変が明瞭に示され、治癒過程が確認できる


まとめ:「痛くないから大丈夫」は危険?症状がなくても注意すべき黒い影

根管治療は一度目の治療がとても重要です。
同じ歯を何度も治療すると、そのたびに歯は削られ、治癒しにくくなり、寿命も短くなってしまいます。
だからこそ、最初の治療をいかに精密に行うかが、歯を長く守るうえで非常に大切です。

また、今回のように痛みや腫れがなくても、定期検診で撮影したレントゲンやCTによって、思いがけず問題が発見されることがあります。
そうした異常を早期に発見し、適切な処置を行うことで、歯や神経の健康を守ることが可能になります。

もし気になる症状や不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


🦷 坂上デンタルオフィス

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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【歯ぐきの腫れとウミが治らない】抜歯を勧められた歯を根管治療で残せた症例

こんにちは。
世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている、坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

今回は、**歯ぐきの腫れやウミがなかなか治らず、大学病院での抜歯を勧められた患者さんが、当院での精密根管治療により歯を残すことができた症例**をご紹介します。

ウミや腫れが続くと、「やっぱり抜くしかないのかな……」と不安に思われる方も多いかと思います。
しかし、CTやマイクロスコープを活用した精密な診断と治療により、歯を救える可能性もあります。

「抜歯」と言われた方も、まずは一度ご相談ください。


初診時の状態と診査結果

カウンセリング(現在の症状や経過の確認)

  • ・他院で2カ月前に歯の根に炎症があり、根管治療を開始。
  • ・**ラバーダム(※1)**を使用して治療を受けていたが、ウミが止まらない。
  • ・大学病院を紹介され、「抜くように」と言われた。
  • ・治療途中で、痛みはない。

ラバーダムを使用して治療する際の参考写真。ゴム製のシートで治療部位を隔離する様子を示したイメージ画像。

※1 ラバーダムとは
ゴムまたはシリコン製のシート状のもので、治療する歯の周囲を覆います。これにより唾液の侵入を防ぎ、治療精度の向上や患者様の快適性向上が期待できます。

口腔内診査・レントゲン・CT撮影

カウンセリング後、口腔内診査と撮影を行い、患者様に現在の状態を説明しました。

初診時の口腔内写真。治療中の歯に白い仮の蓋が入り、隣の歯ぐきに腫れが見られる様子。 初診時の口腔内写真(図1)。治療中の歯と隣の歯ぐきに腫れが見られる部位を赤丸と矢印で示した画像。
▲ 初診時の口腔内写真
治療中の歯は、写真左側の白い仮の蓋が入っている歯です。(図1の矢印で示す歯)
治療中の歯の隣にある歯の歯ぐきにも腫れが見られます。(赤丸部分)

続いて、レントゲンとCTを用いて腫れの原因を詳しく調べました。

初診時のレントゲン画像(左下7番)。治療中の歯の根の先と根の周囲に黒い影が確認されるが、下顎骨に覆われておりはっきりと確認できない状態。
▲初診時のレントゲン(左下7番)
治療中の歯の根の先と根の周囲にも黒い影があります。(矢印で示している部分)
しかし、下顎の骨に覆われており、レントゲンでははっきりと確認することが難しい状態です。

初診時のCT画像。治療中の歯の根の先と根の周囲に大きな黒い影が確認でき、隣の歯の根の先にも影が及んでいる様子。
▲初診時のCT画像
歯の根の先と根の周囲に大きな黒い影があります。
また、隣の歯の根の先まで黒い影が及んでいることが確認できます。
CT撮影の結果、治療中の歯の隣にある歯の歯ぐきが腫れている原因を特定できました。

治療方針とリスク説明

現在の状態
  • レントゲン・CT撮影の結果、治療中の歯の根の先に黒い影を確認。
  • 縦に長い黒い影が見られるため、歯根破折(歯の根が割れている可能性)が疑われる。
  • 根が長く、若干曲がっているため、精密な治療が必要。
  • 歯ぐきの腫れの原因は、治療中の歯の影響と考えられる。
今後の治療方針
  • まずは根管治療を行い、慎重に経過を観察。
  • 根管治療を行っても改善が見られない場合、意図的再植術(歯を一度抜いて治療し、戻す方法)が必要となる可能性がある。

また、治療の費用およびリスク、注意点についても説明し、ご理解いただいた上で治療を開始しました。


治療経過と根管充填後の変化

治療開始前と治療終了後の口腔内比較写真。治療中の歯と隣の歯ぐきの腫れが、根管治療後に改善している様子。
▲初診時と根管治療後の歯ぐきの変化
歯ぐきの腫れ(ウミの出口)が治っています。

根管充填直後のレントゲン写真(角度①)。大臼歯の根管を隙間なく充填し、重なった根管の状態を確認している。 根管充填直後のレントゲン写真(角度②)。角度を変えて撮影し、すべての根管が適切に充填されているかを確認している。
▲根管充填直後のレントゲン
根管を処置できるところまで清掃を行い、隙間なく根管充填を行いました。

大臼歯の場合、根管が重なってレントゲン画像として映るため、根管充填直後は角度を変えて2枚レントゲンを撮ることが多いです。これにより、すべての根管が適切に充填されているかを確認し、治療の精度を高めることができます。

充填後は、感染が再発しないか、周囲の骨の状態が改善しているかを確認するために、経過観察を行います。レントゲンやCTを用いて、根管周囲の骨の治癒状況をチェックし、必要に応じて追加の処置を検討します。


経過観察

術前、根管充填直後、根管充填後半年のレントゲン比較写真。歯ぐきの腫れと骨の回復が経過とともに改善している様子が確認できる。
▲初診時から根管充填後半年のレントゲン比較画像

	術前と根管充填後半年のCT比較画像。3D画像と断層画像を用いて、治療により歯ぐきの腫れや骨の回復が確認できる様子を示している。
▲初診時と根管充填後半年のCT比較画像
半年後のレントゲンおよびCT画像では、根管周囲の骨の回復が見られ、順調に治ってきていることが確認できます。

根管治療をしている歯は、根管治療を行っていない歯より割れやすいため、この後は最終的な被せ物を入れていきます。


まとめ:抜歯を回避するために大切なこと

今回の患者様は、治療中にもかかわらず歯ぐきの腫れとウミが治まらず、抜歯を勧められたという状況で当院を受診されました。

レントゲンとCTによる精密な検査を行った結果、
治療中の歯の根の周囲に黒い影が広がり、隣の歯にまで影響が及んでいることが判明しました。
一見すると非常に厳しい状態でしたが、マイクロスコープを用いた精密な根管治療によって、治療後には歯ぐきの腫れが治まり、半年後のCT検査でも骨の回復が確認でき、最終的に抜歯を回避することができました。

この症例からもわかるように、

  • 「抜歯するように」と言われた歯でも、残せる可能性があること
  • CTとマイクロスコープを用いた正確な診断と精密な治療によって歯を救える可能性があること

が示されています。

もし現在、治療を続けていても症状が改善せず不安を感じている方や、抜歯を勧められて悩んでいる方は、あきらめる前にぜひ一度ご相談ください。


👉 初診のご予約はこちらから

当院ではCT診断やマイクロスコープを活用した精密な根管治療を、すべて自由診療にて行っています。
治療費用について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
👉 治療の費用についてはこちら

✅ 関連記事

👉 根管治療とは

👉 「歯の神経を抜く」ってなに?

👉 当院での根管治療(9):歯ぐきの腫れ、根の周囲に垂直的な黒い影が改善した症例

👉 当院での根管治療(8):根の周囲に垂直的な黒い影が改善した症例

あなたの大切な歯を守るために、一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。


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最後までお読みいただきありがとうございました。

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当院での根管治療(10)

世田谷区の二子玉川にて根管治療を専門に開業しております、

坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

当院で行った根管治療の経過です。

2~3年前に根管治療を行い、治療中のまま仮の蓋がしてある状態でした。

昨年末に瘻孔(ウミの出口)ができたが、いまは痛みや腫れはないとのこと。

他院では治療が難しいという話があり、専門医を探して当院へ来院されました。

レントゲンとCTを撮影すると・・・

  

根の先に黒い影があります。

治療途中の仮の蓋のまま数年が経過してしまっているのもあり、

炎症により大きく骨が溶けてしまっています。

また、CTを撮影したことで樋状根だということが分かりました。

樋状根(といじょうこん)とは、

雨樋に由来し、根管が癒合してC字型になっている根管形態のことです。

英語ではC-shaped root canal と言います。

この樋状根は、根管の内部が扁平であるために、根管治療が非常に難しい歯です。

下顎の第二大臼歯に好発し、アジア人に多く見られる根の形態です。

なかでも男性よりも女性に多く出現することが分かっています。

後日、治療1回目

以前の歯科医院で詰めてもらっていた仮の蓋と、むし歯になっているところを取り除きます。

歯質の残りが少ないところは、レジンを用いて隔壁形成していきます。

1回目の治療で炎症の原因となる根の先までお掃除していきます。

治療2回目

腫れや痛みがないことを確認します。

すべての根の先までお掃除をしていき、隙間なく根管充填を行います。

治療3回目

症状がないことを確認し、歯として使っていけるように土台を入れ、仮の歯を入れます。

根管充填後、半年

経過観察のためにレントゲンとCTを撮影しました。

レントゲン写真では少々わかりにくいですが、CTでは治ってきているのがわかります。

歯ぐきの上に見える歯質が少ないところもありましたが、何とか残すことができました。

治療期間中は、写真のように白い仮の蓋で強くかみ合わないように調整させていただいています。

治療終了後から半年の経過を診る際は、仮の歯を入れ、ある程度噛めるようにし、普段の食事などで問題なく使っていただけるようにしています。

歯の根の形態が複雑な場合でも残せる場合があります。

歯を抜いてしまう前に一度拝見させていただければ、

お手伝いできることがあるかもしれません。

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当院での根管治療(8)

世田谷区の二子玉川にて根管治療を専門に開業しております、

坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

お久しぶりになりますが、

当院で行った根管治療の経過です。

患者さんは、お近くの歯医者さんにて

「レントゲンで黒い影があり、抜歯になると思う。」

と言われ来院されました。

レントゲンを撮ると、

根の先が黒くなっています。

また、手前の根には破折した器具のような物が写っています。

CTも撮影したところ、根に沿って垂直的な黒い影があったため

根が割れていて残せないかもしれない、根管治療をして経過が悪い場合は手術になる

という旨をお話ししたうえで治療を開始しました。

破折器具が残っていても問題ないこともありますが、除去を試みます。

根の中の古い詰め物や汚れを取っていき、

破折器具も無事に取ることができました。

根管治療後半年が経った頃にレントゲンを撮らせていただくと

根の先にあった黒い部分は改善してきているようです。

CTを撮影すると3次元的に確認することができるため、

根に沿ってあった垂直的な黒い影も治ってきてくれていることがよくわかります。

また、初診の際に患者さんがおっしゃっていた浮いた感じもなくなったとのことで良かったです!

すべての歯が治るわけではありませんが、歯を抜く前に一度拝見させていただければ

お手伝いできることがあるかもしれません。

気になる症状などがあれば、ぜひご連絡いただきご相談ください。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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根管治療にはどのくらいの時間がかかりますか?また、通院は何回くらいする必要がありますか?

当院での根管治療は、診査・診断を丁寧に行い、マイクロスコープを使用して精密に治療を行いますので、一回の治療時間に1時間〜1時間半かけさせていただきます。

当然、ラバーダムも使用致します。
治療回数としては通常、前歯ならば1〜2回、奥歯ならば3回程度で治療が終了いたします。もちろん患者様個々の歯によって多少、延長することはあります。

そのような場合でも、痛みや腫れの原因についてCT画像やマイクロスコープを用いて精密に診査、診断、処置を行います。

私は大学病院にて根管治療を主とし治療を行ってまいりました。
困難な症例になればなるほど、根管治療を専門に行ってきた知識と経験が生かし、様々な方法をご提案できると思います。

そのために治療回数が増えることはございますが、やみくもに治療を長引かせることはございません。

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神経を取るため歯を削りましたが、とても大きな穴があきました。そこまで削る必要があるのでしょうか?

歯の神経をとる治療(抜髄)や感染した根の治療(感染根管治療)においては、歯を大きく削る場合もあります(むし歯はとりきらなければなりません)。

また、かぶせ物や詰め物をとることもあります。そのような場合、ご自身の歯を削ってかぶせているため、かぶせ物をとった後は歯がほとんど残っていないこともあります。
従って、神経をとるために大きな穴があくこともあり得ます。

しかし、ご自身の歯をなるべく残すことによって、その後の治療法が変わる場合があります。

当院では、歯の解剖に精通した専門医がマイクロスコープを用いて根管治療を行います。つまり必要最低限の切削で治療を行っていきます。

結果として多くの歯を削る必要が出てくる場合もありますが、最初の治療においては、なるべく歯を残すことを心がけて治療をしてまいります。
削ってしまった歯を残すことはできませんので、気になる方は処置前にご相談いただけたらと思います。

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根管治療にはどのくらいの時間がかかりますか?また、通院は何回くらいする必要がありますか?

当院での根管治療は、診査・診断を丁寧に行い、マイクロスコープを使用して精密に治療を行いますので、一回の治療時間に1時間〜1時間半かけさせていただきます。

IMG_4182

当然、ラバーダムも使用致します。
治療回数としては通常、前歯ならば1〜2回、奥歯ならば3回程度で治療が終了いたします。

>> ラバーダムについて詳しくご覧になりたい方はこちら

もちろん患者様個々の歯によって多少、延長することはあります。
そのような場合でも、痛みや腫れの原因についてCT画像やマイクロスコープを用いて精密に診査、診断、処置を行います。

私は大学病院にて根管治療を主とし治療を行ってまいりました。
困難な症例になればなるほど、根管治療を専門に行ってきた知識と経験が生かし、様々な方法をご提案できると思います。

そのために治療回数が増えることはございますが、やみくもに治療を長引かせることはございません。

 

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根管治療専門医としてのラバーダム防湿 part 1

世田谷区二子玉川で
根管治療専門医院として開業している
坂上デンタルオフィスの
坂上 斉と申します。

今回は私たち、根管治療専門医にとって
非常に大切なもの【ラバーダム防湿】についてお話ししようと思います。
一般的に言われているラバーダムとは、日本の教科書的にはラバーダム防湿と言われ、
英語では”rubber dam isolation”と言います。
日本語の「防湿」と「isolation」はニュアンスが異なる感じがしますが、
それは今回の話の本質ではないので、また後で。
IMG_4182ラバーダム防湿の目的は、
・唾液の流入による感染の防止
・根管洗浄剤の口腔内への漏出の防止
・治療用器具の口腔内落下の防止
・術野の明示
・治療用ミラーのくもり防止
(↑マイクロスコープを用いた根管治療ではこれが非常に重要!)
などがあり、
欠点として
・根管の方向がわかりにくくなる
・若干の痛みを伴うときがある
などがあります。

根管治療に際しては必ず行うことなので、
欠点を理解して行っていきます。
「行うか行わないか」ではなく、
行うときの欠点をいかに少なくするか、私はそこが大事かなと思っております。

当院ではラバーダム防湿に使用するクランプという器具も
数種類取り揃えております。
DSC_0155
クランプとは歯の根元(歯の頭の部分と根の部分の境)のくぼみに爪の部分をかけて、
引っ張ったゴムのシートが外れないように固定しておく器具です。
ラバーダムの時に生じる痛みの多くは、クランプを歯にかける時に生じますので、
いかに痛くなく、確実に、クランプをかけることが「痛みの少ない治療」には大事になってきます。
当院では数種類のクランプを駆使して、治療を行います。
なぜなら治療する歯は、歯種も違えば、残存する歯の形態も異なります。
治療する歯に適したクランプを選ぶことにより、
痛みが少なく、外れずに、唾液も入ってこない、ラバーダム防湿を行うことができます。
治療時の術野を確保し、器具を動かしやすくする、
ひいては治療の予後(経過)に関わってくる非常に重要な器具なのです。

当院で行う根管治療では必ずラバーダム防湿を行いますので、
患者さんに対して痛みを少なくラバーダム防湿が行えるように、
いつも注意しております。

『根管治療専門医としてのラバーダム防湿 part 2』では
具体的なかけ方について説明しようと思います。

坂上デンタルオフィス
坂上 斉

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

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