TOPへ戻る

お知らせ

タグアーカイブ: 根管治療専門

【以前詰めた歯が沁みる】 深いむし歯でも神経を残すことができた歯髄保存の成功例

世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

今回は、「沁みる感じがある」という訴えから、むし歯が深く神経に非常に近接していた歯に対して歯髄保存処置(神経を残す治療)を行い、最終的に神経を取らずに済んだ成功症例をご紹介します。

当初は、神経が露出するほど深くむし歯が進行していましたが、適切な診断と断髄処置、そして経過観察を重ねることで、処置から1年後も神経は生きたまま機能しており、良好な結果が得られました。


初診時の状態:詰めた歯が沁みる

患者さんは、当院で別の歯の治療を受けていた際に、「右上6番が沁みる感じがある」とご相談されました。レントゲン撮影を行うと、右上6番の遠心部(奥側)にある古い詰め物(コンポジットレジン:CR)の下でむし歯が進行しており、神経(歯髄)に非常に近い位置に達していることが確認されました。

初診時の右上6番のレントゲン画像。過去のコンポジットレジンの下でむし歯が進行し、神経に接近している状態。 初診時の右上6番のレントゲン画像(図1)。むし歯が神経に非常に近接している歯を赤い矢印で示している。

▲ 初診時のレントゲン(右上6番)
過去のCR下でむし歯が進行し、神経にかなり接近している状態です。

この段階では右上6番に明らかな症状は見られませんでしたが、むし歯が深く、治療中に神経に近づく、または露髄する可能性が高いと判断されました。
また、処置後に症状が出てくる可能性があることもあわせてご説明し、患者さんには内容をご理解いただいたうえで治療を開始しました。


処置:露髄に対して断髄処置を選択

数週間後、麻酔を行ったうえで治療を開始。旧CRを除去し、むし歯を慎重に取り除いていくと、歯髄の一部が露出(露髄)しました。この時点でラバーダム(ゴムのシート)を使用して感染を防ぎながら、断髄処置(歯髄の一部を取り除いて残りを保存する方法)を実施しました。

MTAセメント(神経を保護・封鎖する薬剤)とBCライナー(神経を刺激から守る保護材)を使用し、神経を封鎖。その後CR充填にて修復を行いました。

露髄部に対してMTAセメントとBCライナーで封鎖した歯髄保存処置直後のレントゲン画像。

▲ 断髄処置後のレントゲン
露髄部を適切に処置し、MTAセメント+BCライナーで神経を保護しました。


処置後の経過観察:神経の生存と歯の状態

約3週間後

  • 「温かいもので沁みる」「少し腫れていた」などの訴えあり
    → 安静時の痛みはなく、歯髄反応も正常だったため、経過良好と判断
    → CR再充填と咬合調整を行い、様子を見ました

約4か月後

  • 「食事の時に違和感がある」「冷風で一瞬しみる」
    → レントゲンで異常所見なし、軽度症状として経過観察継続

歯髄保存処置から約4か月後のレントゲン画像。歯根や根尖部に異常はなく、歯髄の状態も安定している。

▲ 処置から約4か月後のレントゲン
歯根や根尖部に異常は見られず、歯髄の状態も安定していました。

約6か月後

  • 「たまに噛んだときに違和感」「冷風痛が少しある」
    → 強い症状や悪化はなく、レントゲンも異常なし。引き続き慎重に経過観察。

歯髄保存処置から6か月後のレントゲン画像。症状は落ち着いており、歯髄が機能を保っていることが確認できる。

▲ 処置後6か月のレントゲン
経過は安定しており、歯髄が機能を保っていることが示唆されます。

約1年後

  • 「沁みる感じはない」「噛んでも痛くない」との報告
    → 神経が生きたまま安定していることを確認し、処置成功と判断

歯髄保存処置から約1年後のレントゲン画像。根尖部に異常所見はなく、歯髄保存が良好に維持されていることがわかる。

▲ 処置から約1年後のレントゲン
根尖部にも異常所見はなく、歯髄保存が良好に維持されていることがわかります。


まとめ:早期発見・適切な処置・丁寧な経過観察で神経を守る

今回の症例では、以前に詰めたCR(コンポジットレジン)の下でむし歯が進行していたものの、露髄した神経に対して迅速に断髄処置を行い、歯髄を保存することができました。
処置直後はしみる・違和感などの軽度な症状がみられる時期もありましたが、慎重に経過を観察しながら対応を続けたことで、最終的には痛みもなく、神経を残したまま安定した状態を保てています。

歯髄保存処置の成功には、適切な診断と処置はもちろん、その後の丁寧な経過観察が不可欠です。
神経が生きている歯であっても、時間とともに状態が変化することもあるため、治療の有無にかかわらず、定期的なレントゲン検査を通じて状態を確認することがとても大切です。

当院では、精密な診査・診断に基づいた処置と、その後の経過管理を重視し、可能な限り歯の神経を残す治療を大切にしています。
むし歯や歯の違和感など、気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。

👉 初診の流れを見る
👉 治療費用について確認する

✅関連記事・ページはこちら
👉 「歯の神経を抜く」って何?
👉 根管治療とは


🦷 坂上デンタルオフィス

📍東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
📞 03-6805-6546

最後までお読みいただきありがとうございました。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:MI修復, むし歯治療, 歯髄保存処置, 院長ブログ and tagged , , , , , , , , , , , , ,

【左下の歯ぐきがしびれる】下顎管に近接した根尖の黒い影が改善した症例

こんにちは。
世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

今回は、「左下の歯ぐきがしびれる」という症状でご来院された患者様の症例をご紹介します。

前回の「【症状がないのに治療が必要?】CTで見つかった神経に近い黒い影と複雑な樋状根の治療例」では、下顎管(神経の通り道)に近接した根尖部の黒い影(骨がない部分)が見つかったケースをご紹介しましたが、今回は実際にしびれの症状が出ていたケースです。

「下顎管」と聞くと親知らずの抜歯を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はそれ以外の歯でも、CTを用いた正確な診断と慎重な根管治療によって、症状の改善が期待できるケースがあります。

本症例では、マイクロスコープ下で慎重に根管治療を行い、しびれの改善と炎症の消退が確認されました。


初診時の状態:歯ぐきのしびれが起きたときの状態とは?

患者様は、左下7番(第二大臼歯)に噛んだときの痛みと、歯ぐきや唇・顎の皮膚のしびれを感じているとのことで、紹介元の歯科医院から当院を受診されました。

CT検査では、歯の根の先に黒い影(骨がない部分)があり、それが下顎管に非常に近接していることが確認されました。


検査と診断:CTでわかった根尖病変と下歯槽神経との距離

  • 自発痛:なし
  • 打診痛:軽度
  • 圧痛・腫れ:なし
  • レントゲン所見:根尖に黒い影
  • CT所見:黒い影が下歯槽神経(下顎の歯や歯肉、唇などを支配する感覚神経)を通す下顎管に近接
  • 根管形態:未処置、2根管で強い湾曲あり

術前のレントゲン画像:左下の奥歯に根尖の黒い影が確認される 図1:根管がくの字に湾曲している様子を赤いラインで示したレントゲン画像

術前CT画像:左下の歯の根の先に黒い影があり、下顎管に近接していることがわかる」 図2:CT画像で下顎管(黄色)と根尖の黒い影(青色)の位置関係を示した画像


治療方針とリスク説明:しびれの改善を目指した根管治療と注意点

根尖部の黒い影が下顎管に近接しているため、治療による神経への影響を最小限に抑えることが最も重要と判断しました。

また、根管治療を行っても「しびれの症状が必ずしも回復するとは限らない」という点についても、あらかじめ十分にご説明し、同意のうえで治療を開始しました。


治療経過

▶ 第1回目の治療

銀歯を外し、ラバーダム防湿下でむし歯を丁寧に除去し、根管治療の準備として隔壁を作製しました。

根管内の清掃では、根管の大きな湾曲に注意しながら以下の点に留意して処置を行いました。

  • 細い器具を使用して、無理なく根の先まで到達できるようにグライドパス(器具の通り道)を確立
  • 柔軟性のあるNiTi(ニッケルチタン)ファイルを用い、根のカーブに沿って慎重に拡大
  • 根管の形態を壊さないように、一度に大きく削らず、少しずつ段階的に処置

▶ 第2回目の治療

来院時、「しびれが少しずつ軽くなってきた」とのことでした。

根管内の清掃を引き続き丁寧に行い、その後、慎重に根管充填を行いました。
その後、ポスト・コア(支台築造)を実施しています。
根管充填時に少量のシーラー(根管充填材)が根尖部から漏出しましたが、痛みなどの症状は認められなかったため、経過観察としました。

第3回目の治療

治療開始時に訴えのあったしびれと痛みはほぼ消失しており、症状は大きく改善していました。
支台の形態を整え、仮歯を装着して治療を終了しました。

根管治療に伴う左下奥歯の治療経過:銀歯除去から仮封、ポスト・コア築造、仮歯装着までの4段階の比較写真


経過観察:治療後のしびれの変化とCT画像の変化

  • 根管充填後3カ月:痛み・しびれともに消失。レントゲン画像は大きな変化なく、経過観察。
  • 根管充填後6カ月:痛みなく食事できる。レントゲンとCTで黒い影の縮小と**下顎管からの距離の回復(骨再生の兆候)**を確認

根管治療による黒い影の変化を示したデンタルX線画像:術前・根管充填後・3カ月後・半年後の比較

CT画像による根尖病変の変化比較:術前と根管充填後半年、黒い影の縮小が確認される


まとめ:しびれが改善した神経に近接した歯の治療例

今回のケースでは、治療開始時に見られた歯ぐきや唇のしびれが、根管治療の経過とともに徐々に軽減し、最終的には痛みもなく快適に食事ができる状態まで回復しました。

しびれの原因は、歯の根の先にあった炎症(根尖病変)が、下顎の神経(下歯槽神経)に近接していたことによるものと考えられますが、的確な診査・診断と慎重な処置を重ねることで、神経症状の改善が期待できるということを、あらためて確認できた症例でした。

なお、根管治療後の回復には個人差があり、すべてのケースで同様の結果が得られるとは限りませんが、気になる症状や違和感がある場合には、できるだけ早めに専門的な診察を受けることをおすすめします。

不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


👉 初診のご予約はこちらから

当院ではCT診断やマイクロスコープを活用した精密な根管治療を、すべて自由診療にて行っています。
治療費用について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
👉 治療の費用についてはこちら

✅関連記事はこちら

👉【症状がないのに治療が必要?】CTで見つかった神経に近い黒い影と複雑な樋状根の治療例

👉 根管治療とは

👉 「歯の神経を抜く」ってなに?


🦷 坂上デンタルオフィス

📍東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
📞 03-6805-6546

最後までお読みいただきありがとうございました。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:根管治療, 症例, 院長ブログ and tagged , , , , , , , , , , , , , , , , ,

【症状がないのに治療が必要?】CTで見つかった神経に近い黒い影と複雑な樋状根の治療例

こんにちは。
世田谷区・二子玉川で根管治療を専門に行っている坂上デンタルオフィスの坂上斉です。


「痛みも腫れもないのに治療が必要なんですか?」

これは、今回の患者様が来院されたきっかけでもあり、多くの方が疑問に思われることかもしれません。
実際、今回ご紹介する症例でも、痛みのない状態で、他院での定期健診のCTにより根の先に黒い影(骨がない部分)が見つかりました。

歯ぐきや唇のしびれ、痛みなどの症状はないものの、黒い影が下顎管(神経や血管の通り道)に近接している状態で、さらに歯の構造が複雑な「樋状根(といじょうこん)」という特徴を持つことから、治療は慎重を要するものでした。


初診時の状態:症状がないのにCTで見つかった「黒い影」

患者様は、他院での定期健診の際に撮影されたCT画像で、左下7番(第二大臼歯)の根尖に黒い影(骨がない部分)があると指摘され、専門的な診断と治療を希望して当院を受診されました。

検査と診断:CT診断とレントゲンで分かった「樋状根」と神経との距離

  • 自発痛:なし
  • 打診痛:軽度
  • 圧痛・腫脹:なし
  • レントゲン・CT所見:根尖の骨がなくなっており、下顎管とつながっている
  • 解剖学的特徴:樋状根(複雑な根管形態)、根尖部にわずかな湾曲あり

術前のレントゲン画像:症状がない歯の根の先に黒い影が認められる 図1:下顎管(黄色)に近接した根尖の黒い影(青色)が確認できる注釈付きレントゲン画像

術前CT画像:樋状根の根管形態と立体構造が示されている 図2:複雑な樋状根(赤)、下顎管(黄)、根尖の黒い影(青)の位置関係を示す注釈付きCT画像


樋状根と神経の近接が治療を難しくする

以前のブログ「【腫れや痛みが治まっても要注意】CT診断でわかった樋状根と下顎管近接の黒い影」でもご紹介したように、「樋状根」は非常に複雑な根管形態を持つため、治療が難しく、予後が悪くなる可能性があります。

今回の症例では、その樋状根に加えて、根尖部の炎症によって骨が失われた部分が、「下顎管(かがくかん)」とつながっていることが、レントゲンとCTで確認されました。

■ 下顎管とは?

下顎管とは、下あごの骨の中を通る細いトンネルのような構造で、その中には「下歯槽神経」や「血管」が通っています。

この神経は、下の奥歯や歯ぐき、下唇やあごの皮膚の感覚を司っているため、治療中に誤って刺激したり損傷してしまうと、

  • 顎や唇にしびれが出る
  • 感覚が鈍くなる、麻痺が残る

といったリスクが生じることがあります。

このような理由から、下顎の奥歯の根管治療では特に慎重なアプローチが求められます。
とくに女性は顎の骨が小さく、歯の根と神経の距離が短いことが多いため、より注意が必要です。


ファイル試適の意義と治療の工夫

ファイル試適時のレントゲン画像:複雑な樋状根の根管内に器具を挿入し、根尖までの長さを確認している

治療にあたっては、CT画像を参考にしながら、根管の形態と神経との距離を正確に把握し、**ファイル試適(根管内の長さや形態を確認するプロセス)**を慎重に行いました。

とくに以下の点に注意を払いました:

  1. 根管の長さの正確な測定
     → 下顎管との距離を考慮し、安全な範囲で根管長を決定。
  2. 根管形態の把握
     → 樋状根の複雑性をCTと照らし合わせながら確認。
  3. 病変と神経の位置関係の確認
     → 根尖病変が神経と近接しているため、過度な拡大は避ける。

治療中は、患者様に顎のしびれや違和感がないかを逐一確認しながら慎重に進めました。


経過観察:黒い影の消失と骨の再生を確認

治療後、「念のため再確認したい」とのことで、根管充填から2年後にレントゲンとCTを撮影しました。

  • 腫れ・痛み・しびれなどの症状は一切なく、非常に安定した状態
  • 根尖部にあった黒い影は完全に消失し、骨がきれいに再生していることを確認

レントゲン画像による経過観察:術前・根管充填後・半年後・2年後の比較。根尖の黒い影が消失している

CT画像による経過観察:術前・根管充填後半年・2年後。複雑な樋状根と根尖病変が明瞭に示され、治癒過程が確認できる


まとめ:「痛くないから大丈夫」は危険?症状がなくても注意すべき黒い影

根管治療は一度目の治療がとても重要です。
同じ歯を何度も治療すると、そのたびに歯は削られ、治癒しにくくなり、寿命も短くなってしまいます。
だからこそ、最初の治療をいかに精密に行うかが、歯を長く守るうえで非常に大切です。

また、今回のように痛みや腫れがなくても、定期検診で撮影したレントゲンやCTによって、思いがけず問題が発見されることがあります。
そうした異常を早期に発見し、適切な処置を行うことで、歯や神経の健康を守ることが可能になります。

もし気になる症状や不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


👉 初診のご予約はこちらから

当院ではCT診断やマイクロスコープを活用した精密な根管治療を、すべて自由診療にて行っています。
治療費用について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
👉 治療の費用についてはこちら

✅関連記事はこちら

👉【腫れや痛みが治まっても要注意】CT診断でわかった樋状根と下顎管近接の黒い影

👉 【左下の歯ぐきがしびれる】下顎管に近接した根尖の黒い影が改善した症例

👉 根管治療とは

👉 「歯の神経を抜く」ってなに?


🦷 坂上デンタルオフィス

📍東京都世田谷区玉川3-14-8 3F
📞 03-6805-6546

最後までお読みいただきありがとうございました。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:根管治療, 症例, 院長ブログ and tagged , , , , , , , , , , , , , , ,

2025年3月の休診日について

世田谷区 二子玉川にて根管治療を専門に行っております

坂上デンタルオフィスです

3月は木曜日、祝日に加えて

3月10日(月)

3月22日(土)

3月24日(月)

は休診とさせていただきます。

患者様にはご迷惑をおかけいたしますが

何卒よろしくお願いいたします。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:お知らせ and tagged ,

当院での根管治療(9)

世田谷区の二子玉川にて根管治療を専門に開業しております、

坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

当院で行った根管治療の経過です。

患者さんは、歯茎の腫れがあり来院されました。

まずはお口の中を確認させてもらいます。すると・・・

舌側に瘻孔(ウミの出口)ができています。

レントゲンとCTも撮影させていただき、詳しく診ていきます。

根の先に黒い影があります。

CTで確認すると、根の先だけでなく、

瘻孔がある舌側の骨が垂直的に溶けて無くなっているのが分かります。

このように、初診の際はお口の中の状態とレントゲン、CT画像からわかる歯の状態を説明させていただき、治療の方針や費用、治療を行うことのリスク等をお話しします。

この患者さんについては、歯根破折の可能性や手術になる可能性が高いことを

お話ししたうえで治療を開始しました。

後日、治療1回目

被せ物、金属の土台を外し、レジンを用いて隔壁形成します。

壁を作ることで治療中の根管内に唾液や細菌の侵入をある程度防ぐことができます。

根管治療の準備ができたところで、今回は通常の根管治療に追加して、

レーザーを用いた根管の洗浄を行いました。

湾曲している根管や2つの根管が根尖で合流している形態の場合は、レーザーを用いることで

器具が届かないところまで洗浄液を行き渡らせることができます。

治療2回目(3週間後)

まずはお口の中を確認します。

歯茎にできていた瘻孔が無くなっています。

治療1回目で腫れの原因となっていた根の先までお掃除ができたため

腫れが無くなってくれました。

他の根も洗浄を行い、根の先端まで隙間なく根管充填を行います。

治療3回目(3週間後)

痛みや腫れもないとのことで、歯として使っていけるように

仮詰めをしていたところに土台を入れ、形を整えて、仮の歯を入れていきます。

このまま半年使っていただき、問題がなければかかりつけの歯医者さんで最終的な被せ物を入れてもらいます。

根管充填後 半年

患者さんは、痛みや腫れなど無く過ごせているとのこと。

経過を診るためにレントゲンとCTを撮らせていただくと

レントゲンでもCT画像でも溶けて無くなっていた骨ができてきているのがわかります。

割れているかもしれないと思われた舌側の垂直的な骨欠損も改善しています。

この方は他の歯も同じように腫れてきてしまい、根管治療を行い残すことができました。

すべての歯が治るわけではありませんが、歯を抜く前に一度拝見させていただければ

お手伝いできることがあるかもしれません。

痛みがなくても歯茎にニキビのようなできものがあるなど、

気になる症状などがあれば、ぜひご連絡いただきご相談ください。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:根管治療, 症例, 院長ブログ and tagged , , , , , ,

当院での根管治療(8)

世田谷区の二子玉川にて根管治療を専門に開業しております、

坂上デンタルオフィスの坂上斉です。

お久しぶりになりますが、

当院で行った根管治療の経過です。

患者さんは、お近くの歯医者さんにて

「レントゲンで黒い影があり、抜歯になると思う。」

と言われ来院されました。

レントゲンを撮ると、

根の先が黒くなっています。

また、手前の根には破折した器具のような物が写っています。

CTも撮影したところ、根に沿って垂直的な黒い影があったため

根が割れていて残せないかもしれない、根管治療をして経過が悪い場合は手術になる

という旨をお話ししたうえで治療を開始しました。

破折器具が残っていても問題ないこともありますが、除去を試みます。

根の中の古い詰め物や汚れを取っていき、

破折器具も無事に取ることができました。

根管治療後半年が経った頃にレントゲンを撮らせていただくと

根の先にあった黒い部分は改善してきているようです。

CTを撮影すると3次元的に確認することができるため、

根に沿ってあった垂直的な黒い影も治ってきてくれていることがよくわかります。

また、初診の際に患者さんがおっしゃっていた浮いた感じもなくなったとのことで良かったです!

すべての歯が治るわけではありませんが、歯を抜く前に一度拝見させていただければ

お手伝いできることがあるかもしれません。

気になる症状などがあれば、ぜひご連絡いただきご相談ください。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:根管治療, 症例, 院長ブログ and tagged , , , ,

根管治療が終わったのに痛みが出てしまいました。根管治療が失敗したのでしょうか?

根管治療が終了した後に痛みが出ると、非常に心配になると思います。
時には食事もできないような激痛が生じてしまうこともあります。
いろいろな原因で痛みは出るのですが、処置後の一時的な痛みでしたらお薬を飲んで改善されることもあります。

しかし、歯の根の治療が不十分で痛みが生じることも多くあります。
痛みが出る原因の一つとして挙げられるのが、根管内の汚れの取り残しです。

根管治療激痛

根管治療激痛

歯の根(特に小臼歯・大臼歯などの奥歯)の形態は非常に複雑です。

最近はマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用する歯科医院も増えてきましたが、歯の形態によってはマイクロスコープで覗いても見えないところに汚れが残ってしまっていることもあります。

そのような場合は根管の形態を熟知し、取り残す可能性がある部位を予測していないと汚れを取ることができません。
そのような部位に対しては専門の知識を持ち、訓練を積んだ歯科医師に処置してもらうことが必要でしょう。

根管治療

根管について説明画像

歯学部学生の頃は左側の図のように歯の根の形を理解していました。

これならば、少しコツをつかめば、根管治療は簡単そうです。
しかし、実際の歯の根の形は右側の図のように非常に複雑です。

たくさんの根の管があったり、その根の管どうしがつながっていたり、網目のようになっています。この構造を理解していても治療は難しいのです。
この構造が理解や想像できていない場合は、治療の成績が下がってしまうのは仕方ないかもしれません。

汚れが残っていたために痛みが再発し、根管治療失敗したと思っても、適切な処置によって歯は救える可能性があります。

汚れも部位を予測し、解剖学的な知識と処置技術があれば、痛みを解消できもう一度、歯を使えるようになるかもしれません。

当院では常にマイクロスコープを使用し、根管治療専門に大学院、大学病院にて研鑽を積んだ歯科医師が、お時間をかけて治療させていただきます。
必ずご期待に沿えるとは限りませんが、抜歯をする前に一度、ご来院頂ければ色々な処置方法をご提案させていただけるかもしれません。

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:根管治療 Q&A, 根管治療後のお悩み and tagged , , ,

AAE2016の続き

AAE(米国歯内療法学会)2016に参加したご報告です。
日本の歯内療法学会は比較的地味ですが、
米国はちょっと派手目です。
そうは言っても今回は地味な感じがしましたが。。。

DSC_0976

(根管治療界隈で)有名な先生の公演を聞いたり、
大学院時代の先輩の先生が、
アメリカに留学しているので、
その先生の発表を聞いたりしていました。

有名な先生の発表がいくつか重なっていたりして、
聞きそびれた講演もありましたが、
充実した学会でした。
また来年も行きたいですね。

ところで、お買い物報告の続きですが、
超音波チップを買いました。

IMG_3054

ブラジルのメーカーの超音波チップです。
僕はオサダという日本のメーカーの器械を使っているのですが、
それに対応したチップをブラジルのメーカーが作っていたので
思わず買ってしまいました。
上がブラジル製のもの、下が日本のものです。
IMG_3055

ちょっと、ブラジル製のもののほうが細くて長いです。
さらに、これは

IMG_3057

曲げられます!!
この超音波チップは洗浄の時に補助的に使う予定ですが、
チップの先端が曲がるので
曲がった根管での先のほうまで洗浄できそうです。
いいですね!

世田谷区二子玉川で根管治療専門に診療を行っている
小さな医院ですが、
これからも皆様の健康に貢献できたらと考えております。
小さな器械がちょっと治療成績を上げてくれたらよいですね。

坂上デンタルオフィス
坂上 斉

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:学会, 根管治療, 院長ブログ and tagged ,

AAE2016に参加させていただきました。

世田谷区二子玉川にて根管治療専門に
開業しております、
坂上デンタルオフィスの坂上 斉(さかうえ ひとし)です。

4/6~4/9にかけて
米国歯内療法学会(American Association of Endodontists)
が開催されました。
2016年の今年はサンフランシスコにて開催されました。
患者さんの皆様にはご予約が延びてしまい
申し訳ございませんでした。

DSC_0880DSC_0968

AAEへの参加は2011年のサンアントニオ以来でしたので、久しぶりの参加となりました。
DSC_0993
今年はSONENDO社のGentle Waveについての報告がたくさんありました。
非常に画期的な機械なのですが、いまいち信じられない・・・感じです。
コンセプト(洗浄として)は良いと思いますが、
ちょっと論理の飛躍があるような気がします。
1台700万円くらいするらしいです。去年は1000万円だったらしいです。
いろんな研究機関や大学から報告が上がってきて初めて使用できるかと思います。
私意外と慎重です。

あと、細かい器具を購入してみました。
IMG_3049IMG_3041

一般的になんて言うか分かりませんが、
ファイルフォルダーです。

 

IMG_3050IMG_3052IMG_3051

根管治療で使用するファイルを
いろいろな方向から挿入するのに使用します。
似たような器具もあるのですが、
使用しているファイルを切ったり、特別なファイルを使用したりするので、
今使用しているファイルをそのまま使えるのが、
気に入りました。非常に便利です。

主に大臼歯(特に第二大臼歯など)で威力を発揮してくれるでしょう!

患者さんにご迷惑をおかけしながら参加させていただいたので、
その分、臨床に生かしていきたいと思います。
これからも少しずつでも治療を進歩させていきます。
これからもよろしくお願いいたします。

坂上デンタルオフィス
坂上 斉

根管治療専門医による精密根管治療【坂上デンタルオフィス】

日付:  カテゴリ:学会, 根管治療, 院長ブログ and tagged